今夜、俺のトナリで眠りなよ
「優樹さんと私の結婚を良縁だって思ってるお母さんたちには私の苦しみなんてわからない」

 わかってくれるのは、一樹君だけよ。

 私を守ってくれるのも一樹君だけ。

 お見合い結婚でも、お父さんとの結婚生活を幸せだって言うお母さんには、わからないわ。

『優樹さんと何かあったんでしょ? 夫婦生活にはいろいろあるわ。話してみて』

「私は優樹さんに愛されてない。それだけよ」

 間があく。

 お母さんが言葉に詰まっているのだろう。

 何をどう言えば、娘の気持ちを落ちつかせられるのか……って。

『大丈夫。あなたは愛されてるわ』

 ありきたりな返事。

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