今夜、俺のトナリで眠りなよ
 私は愛されてないって言ったのに。どうして愛されてるなんて思うの?

「寝室は別々。結婚してから一度も触れられてなくて……これで愛されてるって思う?」

『きっと、優樹さんも戸惑っているのよ。知りあってすぐに結婚したんだから』

 私は、立ち上がると鞄を持った。

 わかってもらえない。

 私の気持ち、お母さんには受け止められない。

 確かに、結婚生活はそれぞれの夫婦、それなりに問題や困難があるもの。

 それを乗り越えていけるのは、二人が愛し合い、互いを想って、協力し合うから。

 私、一人が頑張って良い妻を演じようって努力しても、最初から無理だったのよ。

 そうよ。一樹君も、最初からそう言ってたじゃない。

 私や世間一般が求める『妻』と、優樹さんが求める『妻』が違い過ぎるんだもの。
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