ありのままの、あなたが欲しい。
ドクン、と胸が一つ重い音を立てた。


母親のこと……!?


確かに昔、亜優に軽い世間話のようにその話をしたことは覚えてる。だけど。



「何で亜優が勝手にそんな話するんだよ?
いつどうやって話すかは俺が決めることだろ!?」


「…本当に話すつもりだった?」



珍しく声を荒げた俺だったけれど、亜優の静かで簡略な問い掛けに思わず口をつぐむ。



「あたしには何も深く考えずに話したかもしれない。
でもあの人は母親でしょう?

叶は優しいから…。この話をしたらあの人が嫌な想いをするかもしれないって考えて、ずっと黙ってるつもりだったんじゃないの?」


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