ありのままの、あなたが欲しい。
──確かにその通りだった。


俺の母親も不倫していて、そのおかげで家庭が壊れたなんてことを夏芽さんが知ったら…

立場は逆でも、同じ過ちを犯してしまった彼女は絶対に自分を責めてしまうだろう。


それに、子供が母親を憎んでいるだなんて話を聞いたら、俺とマナトくんを置き換えて悲しい想いをするんじゃないかとも思った。



だから、出来ればこの話はしたくないと思ったのは事実。


夏芽さんの過去なんて亜優は知らないに違いないけれど、彼女が言うことはかなり的を得ていて俺は何も言い返せなかった。



「勝手に話したのは悪かったと思ってる。でも…
あの人が男の人と親密そうに会ってるのを見たら、なんか悔しくなって…!」


「……男の人?」


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