魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
元々少し長かった髪はまた少しだけ長くなり、薄いがやわらかそうな唇にキスされてしまったら…もう戻れないところまで堕ちていく気がする。
…唇を重ねたことはあるが、情熱的に応えてはくれなかった。
遊びだと言わんばかりのキスに夢中になり、想いに応えてもらえないとわかっていたのにコハクに夢中になったのは…この男が悪い男だから。
「チビ、まだ床が凍ってて滑るから走り回るなよ。そいつらが氷溶かしてからだからな」
「うん、わかった。私お花植えてるね」
空中庭園に着くとしっかりと手袋を嵌めて花壇の前に座り込んだラスを確認し、サラマンダーを召喚した。
『まだ元気はあるようだな』
「馬鹿にすんな、あと1カ月は毎日呼び出すからな。さっさとはじめろよ」
『…美味そうな奴らが居る。炎の中で死ぬまで踊らせてやろうか』
魔法陣から巨体を現わしたサラマンダーに恐れを為したスノウたちが後ずさりをすると、ラスが憤然と立ち上がってサラマンダーに詰め寄り、太い首根っこに抱き着いた。
「めっ!スノウたちにはなんにもしないでね」
『ではお前には何かしてもいいのか?では我と一夜を…』
「おいこらてめえ、尻尾ちょん切るぞ!」
コハクに激怒されても一向に気にはしていなかったが、ラスがにっこりとほほ笑むと、気概を削がれたサラマンダーは力強く翼をはためかせると、クリスタルパレスの中央でホバリングし、盛大に炎を吐き出した。
「チビはほんっと変な奴に好かれるよな。注意しとけよ」
「うん、わかった。コー、頑張ってね」
背伸びをしたラスにキスをされて有頂天になったコハクは、魔法陣から次々と這い出てくるサラマンダーの眷属の火属性の小さな蜥蜴たちに階下へ行くように命令し、固まって動けないスノウたちを見もせずに階下への階段を指した。
「後はグラースに指示を仰げ。小っこい魔物がうろついてるからそれだけ気ぃつけとけよ」
「はい、頑張ります!」
眩しいほどの好意――
ラスは見て見ぬふりをして、花壇に目を落とした。
…唇を重ねたことはあるが、情熱的に応えてはくれなかった。
遊びだと言わんばかりのキスに夢中になり、想いに応えてもらえないとわかっていたのにコハクに夢中になったのは…この男が悪い男だから。
「チビ、まだ床が凍ってて滑るから走り回るなよ。そいつらが氷溶かしてからだからな」
「うん、わかった。私お花植えてるね」
空中庭園に着くとしっかりと手袋を嵌めて花壇の前に座り込んだラスを確認し、サラマンダーを召喚した。
『まだ元気はあるようだな』
「馬鹿にすんな、あと1カ月は毎日呼び出すからな。さっさとはじめろよ」
『…美味そうな奴らが居る。炎の中で死ぬまで踊らせてやろうか』
魔法陣から巨体を現わしたサラマンダーに恐れを為したスノウたちが後ずさりをすると、ラスが憤然と立ち上がってサラマンダーに詰め寄り、太い首根っこに抱き着いた。
「めっ!スノウたちにはなんにもしないでね」
『ではお前には何かしてもいいのか?では我と一夜を…』
「おいこらてめえ、尻尾ちょん切るぞ!」
コハクに激怒されても一向に気にはしていなかったが、ラスがにっこりとほほ笑むと、気概を削がれたサラマンダーは力強く翼をはためかせると、クリスタルパレスの中央でホバリングし、盛大に炎を吐き出した。
「チビはほんっと変な奴に好かれるよな。注意しとけよ」
「うん、わかった。コー、頑張ってね」
背伸びをしたラスにキスをされて有頂天になったコハクは、魔法陣から次々と這い出てくるサラマンダーの眷属の火属性の小さな蜥蜴たちに階下へ行くように命令し、固まって動けないスノウたちを見もせずに階下への階段を指した。
「後はグラースに指示を仰げ。小っこい魔物がうろついてるからそれだけ気ぃつけとけよ」
「はい、頑張ります!」
眩しいほどの好意――
ラスは見て見ぬふりをして、花壇に目を落とした。