魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
黙々と作業をしていると…コハクのチラ見が果てしなくなってきた。
…自分の態度を気にして集中できていないのだとわかっていつつも、ラスも未だかつて抱えたことのない感情にこの時苦しんでいた。
それは、“嫉妬”という感情――
今までも少し位なら感じたことはあっても、よくわからなかった感情だ。
だが…今ならわかる。
スノウたちに嫉妬しているのだ、と。
「なあチビ、そろそろ城内の解凍が終わる頃だし一緒下に行こうぜ」
「ううん、私は1人で大丈夫だからコーはコーにしかできないことやってて」
「えええ?!いやだし!チビと一緒がいい!」
「やだ。1人でできるもん」
突っぱねていると、さすがにむっとしたコハクは赤いネクタイを手遊びしながらラスの隣で中腰になった。
「どした、やっぱいやか?」
「…嬉しいんだけど、そうじゃない自分も居るの。コーごめんね、私本当に1人で大丈夫だから早く一緒にここを人が住めるようにしようね」
「1人にゃさせねえよ。俺はチビの勇者様なんだぜ。チビが傍に居ねえとやる気出ねんだよ。それでもいいのか?ん?」
「それは駄目。じゃあコー、一緒行こ」
――心配させるわけにはいかない。
いつもの自分に戻ろうと決めたラスはコハクに腕を伸ばして抱っこをせがむとすぐに抱き上げてくれて、一緒に階下へと降りた。
あちこちは水浸しになっていて、敷き詰められた絨毯は踏む度にいやな感触がする。
小さな赤い蜥蜴たちはあちこちで炎を吐き出し、城内は熱気に包まれていた。
「何からすればいいのかな…」
「だから何もしなくていいっつったろ?あ、王たちの埋葬に立ち会うか?」
「いいの?コーはここを離れても大丈夫?」
「サラマンダーとはずっと意識が繋がってるからだいじょぶ」
姫抱っこをしてもらいながらさらに螺旋階段を下り、膝裏に回っているコハクの左手に触れた。
自分とお揃いのガーネットの指輪に触れていると、コハクが耳たぶにキスをしてきた。
「俺にさあ、考えがあるんだ。もうちょっと先の話だからもうちょっと熟考すっけど、絶対チビも喜ぶと思うんだよな」
にやにや。
…自分の態度を気にして集中できていないのだとわかっていつつも、ラスも未だかつて抱えたことのない感情にこの時苦しんでいた。
それは、“嫉妬”という感情――
今までも少し位なら感じたことはあっても、よくわからなかった感情だ。
だが…今ならわかる。
スノウたちに嫉妬しているのだ、と。
「なあチビ、そろそろ城内の解凍が終わる頃だし一緒下に行こうぜ」
「ううん、私は1人で大丈夫だからコーはコーにしかできないことやってて」
「えええ?!いやだし!チビと一緒がいい!」
「やだ。1人でできるもん」
突っぱねていると、さすがにむっとしたコハクは赤いネクタイを手遊びしながらラスの隣で中腰になった。
「どした、やっぱいやか?」
「…嬉しいんだけど、そうじゃない自分も居るの。コーごめんね、私本当に1人で大丈夫だから早く一緒にここを人が住めるようにしようね」
「1人にゃさせねえよ。俺はチビの勇者様なんだぜ。チビが傍に居ねえとやる気出ねんだよ。それでもいいのか?ん?」
「それは駄目。じゃあコー、一緒行こ」
――心配させるわけにはいかない。
いつもの自分に戻ろうと決めたラスはコハクに腕を伸ばして抱っこをせがむとすぐに抱き上げてくれて、一緒に階下へと降りた。
あちこちは水浸しになっていて、敷き詰められた絨毯は踏む度にいやな感触がする。
小さな赤い蜥蜴たちはあちこちで炎を吐き出し、城内は熱気に包まれていた。
「何からすればいいのかな…」
「だから何もしなくていいっつったろ?あ、王たちの埋葬に立ち会うか?」
「いいの?コーはここを離れても大丈夫?」
「サラマンダーとはずっと意識が繋がってるからだいじょぶ」
姫抱っこをしてもらいながらさらに螺旋階段を下り、膝裏に回っているコハクの左手に触れた。
自分とお揃いのガーネットの指輪に触れていると、コハクが耳たぶにキスをしてきた。
「俺にさあ、考えがあるんだ。もうちょっと先の話だからもうちょっと熟考すっけど、絶対チビも喜ぶと思うんだよな」
にやにや。