魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
互いにコハクを愛しているという想いは共通しているとはいえ、だからといって仲良くなったわけではない。
スノウは気が強くて攻撃的だが、レイラとエリノアは違った。
エリノアはコハクに無理矢理抱かれたようなものだし、レイラは王子の顔がコハクになる魔法をかけられ、結婚してしまった。
2人はコハクとラスの仲を裂こうとは思っていなかったが、残るもう1人は…違った。
「…」
「……」
「………」
3人が無言で大きな屋敷をくまなく掃除していた時、明るい声が彼女たちを振り向かせた。
「みんなっ、ご飯にしよ。あの…あのね、久しぶりだねっ」
「ええ本当に。早朝から居なくなってしまったからお別れの挨拶ができなくて残念だったの。だからまた会えて嬉しいです」
「レイラ…ううん、あの時は急いでたから私こそごめんね。あのね、コーが沢山サンドウィッチを作ってるの。だからみんなで食べよ?」
ラスに誘われて2人は笑みを浮かべたが、グラースとレイラたちが談笑し、ラスがバッグから飛び出てしまったフローズンを追いかけて屋敷の奥へと行ってしまった時――スノウが動いた。
「ラス王女」
「あっ、スノウ…。私もう王女じゃなくなるの。だからその呼び方は…」
「ラス王女、実は私…誰にも言えない悩みがあるんです。だからあなたにそれを聴いてほしくて…」
「!」
誰かに頼られる経験をあまり持ったことがないラスは瞳を輝かせ、スノウの両手をぎゅっと握ると励ますように何度も頷き、会話を盗み聞きされていないか辺りをきょろきょろ見回すと声を潜めた。
「うん、聴くよ。どうすればいいかな、コーが一緒でもいい?」
「あなたと2人で話がしたいわ。今夜…お時間を頂けるかしら」
「今夜?うん、なんとかしてみる。コーにばれないように頑張るから待っててね」
「ありがとう」
「あっ、フーちゃん待って待って」
またラスがフローズンに気を取られてしゃがんだ時――スノウの真っ赤な唇が妖艶に吊り上った。
「リンゴの時は失敗したけど…次こそは…」
「え?今なにか言った?」
「いえ、なにも」
――罠が、待ち受ける。
スノウは気が強くて攻撃的だが、レイラとエリノアは違った。
エリノアはコハクに無理矢理抱かれたようなものだし、レイラは王子の顔がコハクになる魔法をかけられ、結婚してしまった。
2人はコハクとラスの仲を裂こうとは思っていなかったが、残るもう1人は…違った。
「…」
「……」
「………」
3人が無言で大きな屋敷をくまなく掃除していた時、明るい声が彼女たちを振り向かせた。
「みんなっ、ご飯にしよ。あの…あのね、久しぶりだねっ」
「ええ本当に。早朝から居なくなってしまったからお別れの挨拶ができなくて残念だったの。だからまた会えて嬉しいです」
「レイラ…ううん、あの時は急いでたから私こそごめんね。あのね、コーが沢山サンドウィッチを作ってるの。だからみんなで食べよ?」
ラスに誘われて2人は笑みを浮かべたが、グラースとレイラたちが談笑し、ラスがバッグから飛び出てしまったフローズンを追いかけて屋敷の奥へと行ってしまった時――スノウが動いた。
「ラス王女」
「あっ、スノウ…。私もう王女じゃなくなるの。だからその呼び方は…」
「ラス王女、実は私…誰にも言えない悩みがあるんです。だからあなたにそれを聴いてほしくて…」
「!」
誰かに頼られる経験をあまり持ったことがないラスは瞳を輝かせ、スノウの両手をぎゅっと握ると励ますように何度も頷き、会話を盗み聞きされていないか辺りをきょろきょろ見回すと声を潜めた。
「うん、聴くよ。どうすればいいかな、コーが一緒でもいい?」
「あなたと2人で話がしたいわ。今夜…お時間を頂けるかしら」
「今夜?うん、なんとかしてみる。コーにばれないように頑張るから待っててね」
「ありがとう」
「あっ、フーちゃん待って待って」
またラスがフローズンに気を取られてしゃがんだ時――スノウの真っ赤な唇が妖艶に吊り上った。
「リンゴの時は失敗したけど…次こそは…」
「え?今なにか言った?」
「いえ、なにも」
――罠が、待ち受ける。