魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「おチビさんは人の言うこと聞かない乱暴者の扱いが上手ねえ」
庭で四精霊と一緒に輪になって座り、ラスの背もたれになってやっていたドラゴンに魔王はきりきりしながら話を急かした。
「早く話せよな。俺だって早く人間界に戻りてえんだよ」
「あら?でもそうなるとしばらくはそうやっておチビさんに触ることができなくなるのよ?」
「…え?そう、なの…?」
寝耳に水状態のラスが身体を起こして隣のコハクの袖を握って離さなくなると、ラスの前に居たウンディーネがよくわかるように説明を始めた。
「コハクがあの魔法剣で刺された時に、あの魔法剣がコハクの魂を半分吸い取ったの。コハクの身体の構成要素のほとんどが水晶で構成されてるのは知ってるわよね?」
「うん…知ってるけど…よくわかんない…」
「あの魔法剣は力を吸い取る性質があるのよ。しばらく放置していれば溜めた力は徐々に抜けていくんだけど、カイからやられた時もコハクの力は奪われて、16年かけて放出されていったわ。だけど今は…」
「俺の魂…水晶の半分はあの魔法剣に取り込まれたままなんだ。だからチビ…あの魔法剣で俺をもう1度刺せば…」
「!やだ!絶対いや!だってコーはあの剣に刺されたからここに居るんでしょ!?誰が刺すの!?…私が!?」
胸を押さえて苦しそうにしながらもラスの慟哭は止まらず、想いを吐き出す。
「せっかく助かった命なのにまたあれに刺されなきゃいけないの!?どうして!?」
「チビ…」
「愛する者に刺された場合は死なないわ。あの剣は特別なの。かつて神から授かった聖なる剣なのよ。ただ…持ち主の心の在り様によっては白にも黒にも染まるわ。おチビさん、コハクを愛するあなたにしかこれはできないの。あなたが駄々をこねて突っぱねるなら、コハクはこれから数十年復活できず、ここで暮らすことになるわ」
「そうなると数十年は会えない。お前は試練を乗り越えたのだから、最後の試練にも挑むべきだ」
それまで黙っていたサラマンダーが口を開き、その言葉で背中を押されたラスはコハクを見上げた。
「これが…最後だよね?」
「ああ。これが最後だ」
最後の、試練。
庭で四精霊と一緒に輪になって座り、ラスの背もたれになってやっていたドラゴンに魔王はきりきりしながら話を急かした。
「早く話せよな。俺だって早く人間界に戻りてえんだよ」
「あら?でもそうなるとしばらくはそうやっておチビさんに触ることができなくなるのよ?」
「…え?そう、なの…?」
寝耳に水状態のラスが身体を起こして隣のコハクの袖を握って離さなくなると、ラスの前に居たウンディーネがよくわかるように説明を始めた。
「コハクがあの魔法剣で刺された時に、あの魔法剣がコハクの魂を半分吸い取ったの。コハクの身体の構成要素のほとんどが水晶で構成されてるのは知ってるわよね?」
「うん…知ってるけど…よくわかんない…」
「あの魔法剣は力を吸い取る性質があるのよ。しばらく放置していれば溜めた力は徐々に抜けていくんだけど、カイからやられた時もコハクの力は奪われて、16年かけて放出されていったわ。だけど今は…」
「俺の魂…水晶の半分はあの魔法剣に取り込まれたままなんだ。だからチビ…あの魔法剣で俺をもう1度刺せば…」
「!やだ!絶対いや!だってコーはあの剣に刺されたからここに居るんでしょ!?誰が刺すの!?…私が!?」
胸を押さえて苦しそうにしながらもラスの慟哭は止まらず、想いを吐き出す。
「せっかく助かった命なのにまたあれに刺されなきゃいけないの!?どうして!?」
「チビ…」
「愛する者に刺された場合は死なないわ。あの剣は特別なの。かつて神から授かった聖なる剣なのよ。ただ…持ち主の心の在り様によっては白にも黒にも染まるわ。おチビさん、コハクを愛するあなたにしかこれはできないの。あなたが駄々をこねて突っぱねるなら、コハクはこれから数十年復活できず、ここで暮らすことになるわ」
「そうなると数十年は会えない。お前は試練を乗り越えたのだから、最後の試練にも挑むべきだ」
それまで黙っていたサラマンダーが口を開き、その言葉で背中を押されたラスはコハクを見上げた。
「これが…最後だよね?」
「ああ。これが最後だ」
最後の、試練。