約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



花桜はそう言うと、沖影と言う名前らしい家宝の刀に
そっと手を伸ばして山南さんからの羽織だと言っていた
だんだら羽織にゆっくりと触れた。



「だったら、
 この隊を離れなきゃ」




義兄を説得することは出来なかった。



だったら晋兄を見つけださなきゃ。


晋兄なら、義兄を説得してくれるかも知れない。



一途の望みはまだ消えてない。





歴史を変えたいって言う夢も……。




『歴史を変えたい?』





それは誰の夢?





私……それとも、
記憶の中の……貴女?




ふいに浮かんだ言葉に脳裏に蘇った謎。



慌ててその疑問をかき消すかのように首を振った。




「舞?どうかしたの?」




心配そうに覗き込む花桜。





その時、草履の鼻緒がブチっと突然切れた。



立ち止まった私はゆっくりと屈みこむ。



「舞?」


立ち止まった私と花桜。





土方さんたちは気が付かずに、
京の町を歩いてる。




今なら逃げれる?
隊を離れられる?





鼻緒が切れた
草履では走りづらい。


だけど草履を
脱ぎ捨てて走れば……。






「花桜」




そうやって花桜の名前を
呼んでアイコンタクト。




目の前に歩いていく隊士たちの行動を見据えて、
二人、家屋と家屋の間の細い道へと姿を隠した。




< 181 / 251 >

この作品をシェア

pagetop