約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く


「沖田くん、
 そこに座りなさい。

 そして……貴女も……」



促された場所に沖田さんと花桜が座ると、
私も花桜の隣に正座する。



「斎藤くん。
 
 交代の時間まで二人の監視は
 貴方の務めでしたね。

 何故、とらわれの女の子を庭に出して
 騒ぎを起こさせましたか?」





穏やかで、優しい口調ながら
的確に相手を突いていく話し方。




「申し訳ありません」



ただ一言だけ、
謝罪の言葉を告げた斎藤さんは
その後、一礼してその場から立ち去った。



斎藤って呼ばれてた。



だから……名前は多分、

斎藤 一。




次々と出逢っていく物語中の人たち。




「おいっ。

 朝っぱらから、
 騒々しいな」



突如、大きな声が響いて
風を切って歩いてくるつわもの。



その後ろには……
腰ぎんちゃくらしき存在が数人。





「これは……芹沢先生」





その人をまた穏やかな口調で迎える山南さん。




芹沢って言うことは、芹沢鴨。



そしたら、あの腰ぎんちゃくのどこかにいるのが 
新見さんとかなのかな。



怖いの半分、
興味があるの半分。





次から次へと幕末の登場人物たちに
出逢える興奮が私の感覚を狂わせていく。




山南さんと芹沢さんが、
腹を探り合いながら互いに言葉を
交わしていくさまもを見つめながら、
今の時代を分析していく。





芹沢鴨が生きてたってことは、
まだ……新選組には改名されてない。



壬生浪士組と、
誠忠浪士組だっけ。


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