約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



歩くたびに、足の皮に水泡が出来て
皮が破れ、ヒリヒリと痛みだけが残る。 



歩いてついていくだけで精一杯、
あんなにもお荷物になりたくないと思っていたのに
すでにどうしようもない状態だった。


「舞さん、無理しなくていいですよ。
 荷物を貸してください」


義助さんが私の肩から荷物を奪い取ると、
逆サイドからは、晋作さんが私の前に腰をかがめる。


「おぶってやるよ」



戸惑う私に早く来いと催促して抱え上げると、
ゆっくりと山道をくださっていく。


「あのっ、重くないですか?」


定期的に続く振動を体で感じながら
晋作さんの体温を衣類越しに感じる。



「重いなー」



えっ。
重い……やっぱり。



「あの、晋作さん。私、降ります。
 自分で歩きます」



慌てて、そう答えると
晋作さんは面白そうに笑った。



「舞、重くはないよ。
 
 あと少しで、数日の宿につく。
 舞はそこで休んでろ」



そう言うと、晋作さんは、
また力強く歩き出した。




晋作さんの背中に揺られ、
途中からは、義助さんの背中に
揺られて辿りついた目的の宿。




そこに着くころには喉はカラカラで、
体は寒さに震えて頭がクラクラしてた。




「舞さん……」




私の異変に気が付いたのか、
遠くで義助さんが叫ぶ声が聞こえた。



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