愛を教えて
その、恐ろしいほど厳しい口調に、俊介は仰天している。怯えるように卓巳から顔を背け、謝罪を口にした。


「も、申し訳ありません。これからは気をつけます」


俊介と同様に、万里子も驚きの表情を隠せずにいる。


「あの……卓巳さん、どうなさったんですか?」

「万里子、彼はこれからもたびたび君と会うつもりのようだ。いっそ、彼の妻にしてもらったらどうだ?」

「卓巳さん!? 何をおっしゃるんですか? やめてください、そんな……そんなこと」


――なぜ、自分の愛する男を責めるのか?


卓巳の耳に万里子の声がそんなふうに響いた。


「……失礼」


卓巳は堪えきれず、逃げるように万里子と俊介の元から立ち去った。


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