愛を教えて

(6)拒絶

十一月第二週のガーデンウエディングから半月が過ぎた。
暦は師走、十二月に入っていた。


藤原家のメインテーブルに席がひとつ増え、卓巳も毎日邸に戻り、夕食を取るようになった。
そして夕食後は、新婚のふたりは早々に部屋に引き上げる。

尚子や和子が声を揃えて、


「まあ、お熱いこと。この分ならすぐにも、跡継ぎがお生まれになるんでしょうねぇ」


嫌味の方向を変えなければならないくらいだ。


だが現実は……新婚カップルの寝室に甘いムードの欠片も存在しない。

結婚式当日、卓巳は離れで強引にキスした挙げ句、勝手な思い込みで万里子を突き放してしまった。
あのとき以来、ふたりの距離は開いたままだ。

卓巳は結局、すぐに謝ることはできなかった。あのまま、万里子を離れに放置してしまった。尻込みして逃げ出してしまったのだ。

しかし、明らかに万里子の様子が変わったことに気づき、卓巳は覚悟を決め、頭を下げる。


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