愛を教えて
万里子が初めて藤原邸を訪れた日は車だったので、木立を迂回する車道を通った。
しかし、正門から玄関まで一直線に続く遊歩道があって、そこは見事な並木道となっていた。

藤原家には住み込みの庭師、柊真二郎《ひいらぎしんじろう》がいる。
三十代前半と若いが皐月の信頼は厚い。柊によって、季節ごとの剪定や植え替えなど、きちんと管理がなされていた。

万里子は皐月の許可を得て、その柊に頼み、イルミネーションを設置することにしたのだ。


「ご自宅も飾られてたんですか?」

「ええ、凄いのよ。最近はイルミネーションでサンタさんやトナカイも作れるんだから。でも、電気代が勿体ないかしら」


皐月の許可は得たが、卓巳には話していない。
結婚してからずっと、まともに顔も見ていなかった。


「ま、この時期だけだし、大奥様も喜んでいらっしゃるんだからいいんじゃないですか?」

「ええ、そうね。卓巳さんも……叱ったりしないわよね」


万里子が卓巳の名前を口にしたとき、雪音は思い切ったように口を開いた。


「あの……万里子様、卓巳様と上手くいってないんですか?」


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