愛を教えて
「た、た、たくみ、さん?」

「おはよう、奥さん」

「お、おはようございます」


卓巳がそこにいた。

万里子のベッド上に、卓巳は横になり左肘をついて彼女を見つめている。
それは信じられないほど、甘やかなまなざしだった。

パジャマは着ていたが、胸元は少しだけはだけていた。どうやら、万里子が壁と間違えて触ったせいらしい。


「あの、どうしてこちらに? それに、昨夜のことは……夢じゃなかったんですか?」


愛してると言われ、生涯妻でいて欲しいと言われた。
そして、万里子の過去を察して、二度と聞かないと誓ってくれたのだ。

万里子にすれば、一生分のクリスマスと誕生日のプレゼントを、一度にもらった気分である。


「夢かどうか、試してみればいい?」

「どうやって?」

「こうすれば、わかるんじゃないかな」


万里子の唇を掠めるように、卓巳の唇が触れた。

あまりに一瞬で、万里子が目を瞑る暇もない。 


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