愛を教えて
「急いで編んだんです。だから、あまり手の込んだ柄にはならなくてごめんなさい」


そう言って万里子が差し出したのは、手編みのフィッシャーマンセーター。
クラシックな四つの柄『ハニカム・ダイヤ・ケーブル・バスケット』で編まれており、色はオフホワイト。

素人の卓巳にも、これが十二月に入ってから編まれたものでないことくらい、すぐにわかる。それほど手の込んだセーターだった。


「いったい……いつからこれを?」

「入籍した日です。婚姻届を見て、卓巳さんの誕生日がわかったから。でも、結婚式の準備もあって、あまり時間が取れなくて」


はにかんで微笑む万里子に、卓巳はしばらくの間見惚れていた。
直後、卓巳は頭に浮かんだことを尋ねてみる。


「これは、みんなに編んでるのかな?」

「父には何枚か……あと、忍にはカーディガンを編んでプレゼントしたこともありますけど」


万里子には卓巳の質問の意図が伝わらなかったらしい。
少々気恥ずかしさを感じつつ、


「いや、そうじゃなくて……例の、俊介くんにも編んでやったのか、と聞いてるんだが」


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