愛を教えて
「どんくさいわねぇ。せっかく万里子をあんたの部屋に近づけてやったのに。ヤレなかった上に、卓巳に半殺しなんて。笑えるわ」


万里子が無謀なことを言い出したころ、太一郎の部屋に客があった。

あずさである。


「やっぱお前か。おかしいと思ったんだ。俺はあんなガキ、部屋に呼んでねぇんだからな」


目の前にいれば手を出してしまう。

太一郎に、我慢するという経験はなく、卓巳の警告がストッパーになる自信もなかった。

太一郎が狂ったように手を出すのは、経験の少ない娘ばかりだ。それもまた、自信のなさの裏返しだった。

“バージンキラー”などというレトロな呼び名も、金目当ての取り巻きが付けた揶揄に過ぎない。

自虐的な意味も込めて、太一郎自身も使っていた。


「あら、あの女が抱きたかったんでしょ? 雪音を探してメイドルームに来た万里子を、あんたの部屋近くにまで行かせてやったのよ。まんまと部屋に引き込みながら……全く、何やってるんだか」


あずさはそう言うと鼻で笑った。


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