愛を教えて
十分後、万里子は食堂の一角にいた。

食堂には壁際にソファセットがいくつも置かれている。
パーティで来客が休憩に使うためだ。
滅多に使われることのない椅子に、今は邸の女主人である皐月が座っていた。

尚子はどうあってもその場で話をすると言って聞かない。
困った浮島はメイドに命じて、それぞれ皐月と卓巳を呼びに行かせた。

結局、皐月のひと声で全員が食堂に集められたのだった。


「こ、こんな……違います。私ではありません! 私はこんなっ」


万里子は例の下劣な写真付きの怪文書を尚子から突きつけられる。
それを手にすると、卓巳に向かって真っ先に否定した。


「わかってる。それはわかってる……だが」


卓巳は辛そうに横を向く。


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