愛を教えて
そのとき、自分の下から万里子の切なげなため息が聞こえた。


「これも、気持ちいいのかな?」

「やだ、意地悪。……卓巳さんは?」

「最高だ! 万里子、愛してるよ。君だけだ、君でなきゃダメなんだ!」


可愛らしい万里子の声に背中を押され、卓巳は動き始めた。


すると、卓巳の耳にも確かな万里子の声が聞こえてくる。

もっと、もっと彼女を感じさせたい。自分に与えられるすべてを万里子に。卓巳は何も考えず、その行為に没頭していた。


直後、万里子が違う声を上げる。


「あっ! いやっ……中に……」


万里子の声で卓巳の動きは止まり、彼自身も気がついた。


< 630 / 927 >

この作品をシェア

pagetop