愛を教えて
「そう、か。この間より、奥まで……入っているみたいだ。このまま、じっとしていてもいいだろうか? 少しでも長く、君とひとつでいたい」


卓巳は恐る恐る万里子の顔を覗き込んだ。

すると、万里子は瞳を涙で一杯にして――。


「たくみ、さん……嬉しい。とっても嬉しくて……今、あなたと……ひとつに」

「ああ。幸せだ。夢みたいだ」


ふたりはお互いの目を見つめ合ってそうっと微笑んだ。

卓巳は微動だにせず、万里子の身体を支える。そう簡単には結ばれなかったふたりだからこそ、わずかな繋がりでも至福の喜びとなる。

そして、万里子の潤んだ瞳に吸い込まれるように、卓巳は口づけた。


「まり、こ……ごめん、ちょっと、もう」


わずか一度、卓巳が万里子のすべてを知ろうと動いた瞬間。目標は達成半ばで、卓巳は後退を余儀なくされた。

だが、先日を遥かに上回る素晴らしい感覚に、卓巳の自尊心は急上昇したのだった。


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