愛を教えて
「いや、全部は無理だった。ごめん、我慢できなかった。でも……この次はきっと」

「この……次?」

「ああ、この間より――だろう?」


卓巳の様々な含みを帯びた問いに、万里子は真っ赤になりながらも、しっかりとうなずいた。


「この間は、偶然の幸運に恵まれただけだと思っていた。だが今夜は違う。機能が戻ってきてるようだ。信じられない、ゼロパーセントだったのに。ゼロには何をかけてもゼロだって諦めてたんだ」


興奮気味に語る卓巳に、


「いやだ、卓巳さん。かけるんじゃなくて、足せばいいのよ。答えはゼロとは限らないでしょう?」


恥ずかしそうに小首を傾げ、万里子は微笑んだ。


それは闇の中の光――。


慈しみに溢れた万里子のすべてが、卓巳に希望を与える。万里子が堪らなく愛しい。卓巳はかけがえのない宝物を強く、そして優しく抱き締めた。


「君は僕の命だ。絶対に離さない」

「卓巳さん」


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