愛を教えて
「ああ、もうダメだ! 奴より先に手を打たなきゃならないのに。それを考えなきゃならないのに。さっぱり頭が回らない」


言葉とは裏腹に、卓巳は足首に引っかかったままのスラックスと下着を、つま先から振り払った。

全裸になると万里子を抱き上げ、ベッドルームに向かう。


「今夜は考えるのはやめだ。その代わり、君のそばでゆっくり眠りたい。構わないだろう?」

「ええ、それはもちろん。でも、眠るだけでいいの?」

「……なんて意地悪な奥さんなんだ」

「ち、ちがうわ! 私はただ」

「わかってる。眠るだけだ。そう、君の身体のキスマークを二桁に増やしたあとでね」


ベッドに到着する前にキスマークの数は増えていく。

卓巳の中に目覚めた愛は着実に形を成し始めた。


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