愛を教えて
万里子は暗がりの中、そうっと左手を伸ばした。そして薬指の結婚指輪を確認する。
(幸せ……きっと今が一生のうちで一番幸せ。たとえ、今夜一晩だけのことでも)
「何を考えてる?」
規則的な呼吸音が聞こえていた。
卓巳は眠ったのだとばかり思っていた。それが、突然声をかけられ、万里子はビックリする。
「どうしたんだ、万里子? まさか、泣いてたのか?」
「違うわ。あの、本当なら昨日にはウェールズに着いてたはずなのにって」
とっさに嘘をついた。本当の気持ちは言えない。言えば、卓巳は愛の言葉を繰り返すだろう。
「ああ、そうだな。こうして、一日中ベッドで過ごす予定だったんだが、申し訳ない」
卓巳もため息混じりに呟いた。
日本を発ってもう九日目。今朝は、予定どおりならウェールズの古城で迎えていたはずだ。なのに現実は、ロンドン市内の観光すらしていない。
万里子はライカーのことで卓巳を責めたような気がして、慌てて訂正する。
(幸せ……きっと今が一生のうちで一番幸せ。たとえ、今夜一晩だけのことでも)
「何を考えてる?」
規則的な呼吸音が聞こえていた。
卓巳は眠ったのだとばかり思っていた。それが、突然声をかけられ、万里子はビックリする。
「どうしたんだ、万里子? まさか、泣いてたのか?」
「違うわ。あの、本当なら昨日にはウェールズに着いてたはずなのにって」
とっさに嘘をついた。本当の気持ちは言えない。言えば、卓巳は愛の言葉を繰り返すだろう。
「ああ、そうだな。こうして、一日中ベッドで過ごす予定だったんだが、申し訳ない」
卓巳もため息混じりに呟いた。
日本を発ってもう九日目。今朝は、予定どおりならウェールズの古城で迎えていたはずだ。なのに現実は、ロンドン市内の観光すらしていない。
万里子はライカーのことで卓巳を責めたような気がして、慌てて訂正する。