愛を教えて
卓巳は咳払いをすると、


「さっき……あ、いや昨夜か。ともかく、僕は君を抱いたんだ。だから、責任を取らなきゃならない」

「……?」


万里子は卓巳が言わんとすることに見当もつかない。しかもかなり緊張して、上ずった声。そう思ったとき、ひとつのことに思い当たった。


「だから、だ。僕が言いたいのは」

「わかっています。だから、もうそれ以上は……」


万里子は卓巳の声を遮った。


クリスマスの夜に話してくれた、卓巳に子供ができないと言うのは嘘だ。すべてを知っていて、万里子のためについてくれた嘘。

卓巳の機能が回復して、普通に女性と関係を持てるようになったなら、もう万里子は必要ない。むしろ邪魔になる。彼は藤原グループの後継者なのだから。

そうでなくとも、卓巳には子供を持つ資格も権利もある。万里子が足を引っ張るべきではない。もう、自分の役目は終わったのだ、と。


「怒ってるのかい? 確かに充分な満足は与えられなかっただろうけど、君を抱いたことは間違いない。何が起きても僕の責任だから……それを忘れないでくれ」

「そんな、愛し合うあまり夢中になって最後の一線を越えてしまったから、責任を取って結婚してくださったんでしょう?」


万里子は涙を堪え、茶化すように答えた。


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