愛を教えて
何も覚えてはいないが、ライカーの言うとおりに違いない。卓巳のためにと、ただひとつの愛に殉じることが、万里子の愛の証だと思った。


愛を……諦めなければよかった。


卓巳を愛し続ければよかったのだ。


「万里子、僕は君を愛してる」


卓巳は何度も言ってくれたのに、どうして信じなかったのだろう。


「万里子、一緒に日本に戻ろう」


戻りたかった。いや、卓巳と共にいられるなら、場所などどこでも構わない。


「君は僕の魂の半身だ。僕の命だよ、万里子」


卓巳のそばでなければ、息をするのも苦しい。


「戻っておいで、万里子。戻って来て、僕を許すと言ってくれ」


万里子の目の前に卓巳がいる。言いたいことはたくさんあるのに……。


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