愛を教えて
「僕が取り戻す。そして、君の指にはめる。何度でも、だ」


卓巳は万里子の指、一本一本を唇でなぞった。そして手の平から手首……肘の内側へとキスでなぞって行く。


「卓巳さん、愛してるわ、でも」


その瞬間、万里子の口元に卓巳は指を押し当てた。


「覚えてるかい? 君が初めて僕にキスをねだったのは、太一郎に唇を奪われたときだった。だから……百回、いや千回でも口づけて、記憶の外に押しやってしまおう」


卓巳の手は万里子の腰を引き寄せ、包み込むように唇を重ねる。今までの優しいキスより、少しだけ深く甘く、そして長くお互いを感じ合う。卓巳の熱が万里子に伝染して、彼女の細い指が卓巳の濡れた髪に絡んだ。


卓巳の手が万里子のパジャマのボタンに触れたとき、


「あ、ダメ、ダメよ、卓巳さん」


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