愛を教えて
卓巳が巻き起こした突風は、万里子の胸を覆う霧を吹き飛ばした。その中には悲しみと真実が隠れていたが、万里子は逃げずにその両方を受け止める。

それは、卓巳が万里子のすべてを認め、無償の愛を与えてくれたから……。

愛は“奪うもの”でも“与えるもの”でもなく、そして、その両方なのだ、と。どちらが欠けても、愛は枯れ果てる。

それは、ふたりで見つけた答えだった。


「ねえ、サーとは……きゃ」

「ハネムーンのベッドで他の男の名前を呼ぶなんて、どうやらお仕置きが足りなかったらしいな」


言うなり、卓巳は万里子の口を塞ぐ。

万里子はキスの合間に、喘ぐように尋ねた。


「ま、待って……会社は、契約はどうなったの? それに」


あれから何日経ったのか? ふたりはまだ日本に戻らなくてもいいのか? 聞きたいことはたくさんあるのに。卓巳のキスは万里子から思考力を奪う。

でも……万里子は一番知りたいことを選び、卓巳の背中に手を回した。


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