愛を教えて
「叔母上、あなたのせいで祖母は発作を起こしたんだ。あなたは、祖母を殺すところだった。なぜ、そこまで祖母を憎むんです? 彼女はなさぬ仲のあなた方姉妹を、祖父が亡くなったあともこの邸にも住まわせている! 感謝こそすれ……」
「どうして感謝しなければなりませんのっ!?」
うつむき黙っていた尚子がふいに顔を上げた。
その顔は鬼女の如く歪み、憎しみのこもった目で卓巳を睨む。
「あたくしも藤原高徳の子供です! それなのに、さも与えてやったと言わんばかりの目をして。皐月様も、あなたの父親も、そしてあなたまで!」
卓巳は、それを言うなら責任は高徳にあり、皐月や卓巳にはないはずだ、と思う。
だが、立場を替えれば、尚子と和子が妾の子だと蔑まれることも、彼女らの責任ではない。
そう――すべて、藤原高徳の悪行の結果だ。
その報いを、本人以外の人間ばかりが受けている。社長室に飾られた先代社長の写真を額縁ごと叩き割り、粉々に砕いてやりたい。
卓巳はそんな衝動に駆られた。
「千代子の話は……事実なんですね? いったいどうして、それをあなたが知ったんだ」
「お父様が亡くなられたとき、弁護士のファイルに千代子とあの男の名前があったのよ。弁護士は法的には問題はないの一点張りで教えてくれなかったわ。でも、つい先日わかりました。まさか……お父様が五十間近で十六歳の少女と、なんて!」
「どうして感謝しなければなりませんのっ!?」
うつむき黙っていた尚子がふいに顔を上げた。
その顔は鬼女の如く歪み、憎しみのこもった目で卓巳を睨む。
「あたくしも藤原高徳の子供です! それなのに、さも与えてやったと言わんばかりの目をして。皐月様も、あなたの父親も、そしてあなたまで!」
卓巳は、それを言うなら責任は高徳にあり、皐月や卓巳にはないはずだ、と思う。
だが、立場を替えれば、尚子と和子が妾の子だと蔑まれることも、彼女らの責任ではない。
そう――すべて、藤原高徳の悪行の結果だ。
その報いを、本人以外の人間ばかりが受けている。社長室に飾られた先代社長の写真を額縁ごと叩き割り、粉々に砕いてやりたい。
卓巳はそんな衝動に駆られた。
「千代子の話は……事実なんですね? いったいどうして、それをあなたが知ったんだ」
「お父様が亡くなられたとき、弁護士のファイルに千代子とあの男の名前があったのよ。弁護士は法的には問題はないの一点張りで教えてくれなかったわ。でも、つい先日わかりました。まさか……お父様が五十間近で十六歳の少女と、なんて!」