愛を教えて
皐月の容態が安定し、ホッとした直後、卓巳と万里子は宗からあずさの一件を聞いた。

誓約書を見せられ卓巳は「本当なら訴えてやりたいが、追い込み過ぎて窮鼠となられては面倒だ」と言い、怒りを抑えていた。

万里子も同じだ。出て行ってくれたのなら追いかけてまで争うつもりはない。 

宗もふたりの気持ちをあらかじめ察していたらしく、


『マスコミには持ち込めないように手配しました。念のため、監視も付けています。妙な動きを見せれば、事前に手を打つつもりです』


完璧な采配ぶりだった。

卓巳の守護天使云々ではないが、万里子も感心するほど宗はふたりのハネムーン中に頑張ってくれたようだ。


『各社の決算期を過ぎて総会までの間に休暇でもやろう。のんびりと旅行でもするだろう』

『雪音さんを誘うと思う?』

『さあな。だが、奴のことだ。整理するリストはまだまだ残っていると思うがな』


宗に感謝しつつ、思わせぶりに笑う卓巳だった。


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