愛を教えて
卓巳の帰宅を待ち、万里子は病院でのことを話した。


「じゃ、検査は明日受けることになったのか?」


卓巳は心配そうな表情で万里子に聞き返す。


「はい。ちょうどおばあ様のお見舞いに毎日通っていますし……。早いほうがいいと思って」


卓巳のコートをハンガーにかけながら万里子は答えた。

深夜の帰宅なので出迎えは万里子だけだ。


邸内で浮島だけは変わらずに頑張っていた。

だが、彼も寄る年波には勝てないのだろう。春には自分に代わる執事の見習いを入れて欲しいと卓巳に申し入れた。数年かけて仕込みたいらしい。

浮島も、皐月の発作と入院には精神的に堪えているようだ。


「明日でなければ僕もついて行けるんだが」

「検査を受けるだけです。結果を聞くときは卓巳さんも同席してくださいね。あの、もしダメなときは」


万里子は明日、不妊の検査を受けることになった。


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