愛を教えて
皐月の入院する大学病院の産婦人科は、都内で最新の不妊治療を取り入れていた。

万里子はそれを聞き、治療は時間のかかるケースもあるので一日でも早く、と検査を願い出たのだ。


だが、自分でも気づかぬうちに、プレッシャーで眉間にシワが寄っていたらしい。

卓巳は優しく万里子の髪を撫で、微笑みながら顔を覗き込む。


「受ける前からそんな顔してどうする? 明日はとりあえず、だ。国内に不妊治療専門の優秀な病院はたくさんある。海外にはもっとだ。心配はいらない。僕が必ず君を母親にしてみせるさ」


卓巳の思いやりはとても嬉しい。押し寄せる不安を卓巳の笑顔が払い除けてくれる。


万里子は感謝の気持ちを伝えたくて、シャツを脱いだ卓巳にギュッと抱きついた。

他意はなかったのだが、卓巳は違うように受け取ったらしい。


「万里子、やっぱり自分たちでも最大限の努力はするべきだろうな」

「た、たくみさん? ごめんなさい、あの」

「今日こそは、一緒にシャワーを浴びてくれるだろう?」

「それは……」


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