愛を教えて
君のために必要だったと言えば、自分のせいだと泣く。

過ぎたことではなく、これからのことを考えようとすれば、卓巳のことを冷たいと責めるのだ。


卓巳自身、自分の責任は痛感している。

薬剤の影響で子供の成長が止まったというなら、卓巳が判断を誤ったのだ。

だが、ドクターの警告に従い、調べるべきことは調べた。確かに、大きな病院で最新の超音波機器を使えば、ごく初期の妊娠でもわかったのかもしれない。しかし、あのときの万里子をそんな目には遭わせられなかった。


ただならぬふたりの様子を、雪音が宗に伝えたらしい。

急遽キャンセルとなった予定をすべて組み替え、宗は藤原邸にやって来た。

そして、このとき初めて、卓巳はライカーが万里子を傷つけた事件を人に話した。



「それはまた……災難でしたね」


宗はライカーの失脚が契約がらみではなく、万里子を狙ったせいだと知り、唖然としている。


「ああ。あの一件がここまで足を引っ張るとは、思ってもみなかったよ」

「どちらにしても、この時点での決断は、早計に失するのではないでしょうか?」


宗の言葉に卓巳は声を荒げた。


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