愛を教えて
「万里子、頼むから泣かないでくれ。もうこれ以上、君が悲しむ姿を見ていられないんだ」


卓巳の言葉に、万里子は顔を上げた。


おそらく、ずっと泣いていたのだろう。瞳は赤く充血し、瞼は腫れ上がっている。なのに、その目は力を帯び、挑むような視線で卓巳を仰ぎ見た。


「それじゃ、約束してください。二週間経って、この子の心拍が確認されたら……産んでもいいって」


卓巳はゆっくり首を振ると、静かに答えた。


「まるで僕が、子供を産むなと言っているみたいだ」

「だったらいいですよね? 私、この子の心臓が動き出したら、どんなことをしても守ってやりたいんです。たとえ障害があったとしても、この子が懸命に生きる限り、寄り添って一緒に生きたいの」


万里子の瞳には、これまで見たこともないほどの力が込められていた。卓巳を食い入るように見つめ、切々と訴える。


「もし、生まれてくることが叶わなかったとしても、最後まで一緒に頑張りたい。だって、私たちの愛で授かった奇跡の命なんですよ。諦めることなんて……」

「ダメだ」

「卓巳さんっ!」

「君の母親はどうなった?」


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