優しいなんて、もんじゃない



いきなりなんだ。

忘れられるわけがないと、言いそうになるのを堪えて。睨むだけに留めた私と視線を絡ませたまま。ユウはニッと口角を綺麗に引き上げるだけだった。


第一、ユウの場合初対面での悪印象が強すぎて忘れろと言う方が難しい。



「また、会いに行くね?」

「呑みに来るなら許す。」

「はは、クール。」

「(嘗めてんのかコイツ…。)」



ふにゃりと無防備に笑ってみせるユウは、もう顔を隠す気はさらさらないらしい。

まあ、こんな綺麗な顔を見せられて悪い気はしないし。特をしたと考えた方がいいのか。



そうは考えるも、私の場合睨むような形でユウを見上げてしまう。

…うん、これは仕方がない。ユウだし別にどうでもいいけどね。




「じゃあ、俺そろそろ帰るねー。」

「…ああ、うん。じゃ。」

「寂しいとか…」

「言うか馬鹿。自惚れんな。」



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