女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~


「やっぱり寝てなかったんだ。起きたら一人でビックリした」

「・・・すみません。仕事もあるしと思って先に失礼しました・・・」

 本当に眠そうだな、と呟いて、彼が私の顔を覗き込んだ。

「色々話をしたかったんだけど。・・・無理っぽいな。送るって言ったら迷惑かな?」

 すぐに返答出来なかったのは、別に困っていたとかそんなのではない。

 正直、どうでもよかったのだ。眠すぎて。

「・・・困ってる?」

 聞いてくる本人の方が困ってるようだったから、少し笑えた。

「・・・・いいえ。迷惑じゃないですけど、本当に眠くて眠くて、相手が出来るかどうか自信ないです・・・」

 すると彼は、また子供みたいにニッコリ笑った。

「お構いなく。送りたいだけだから。車なんだ、寝てていいから」

 ぼーっとしながら、はーい、と返事をした。

 普段は気軽にあまり知らない人の車なんかには乗らないが、この人が変質者でも、いいや、とにかく眠れるなら。そんな心境だった。

 大体今は、悪魔の斎に比べると他の全ての人間が天使に思えるぜ。

 ミニバンの助手席に座って何とか住所を伝えると、本当にすぐに私は寝てしまったのだった。


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