女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
乗っているのは30分くらいだと思うが、昏々と寝ていたようだ。
「・・・・起きて」
よく通る声で何回か言われて、ハッと目を覚ました。
ガバッと身を起こして周りを見る。
「ごめん、着いたと思うから起こした」
「え?」
隣を見たら、運転席から桑谷さんがこっちを見ていた。私は呆けた顔で、彼をじーっと見詰める。・・・あら?どうして桑谷さんが、ここに?ってか、ここはどこ?
ちょっとしたパニック状態で恐る恐る口を開く。
「・・・・桑谷、さん」
「うん」
周囲をぐるりと見回したら、見覚えのある場所だった。そこでやっと思い出す。そうだ、通用口のところに彼が待っていて―――――――――
「・・・えーっと・・・・送ってもらったんですか、私?」
彼は小さく苦笑した。
「そう。ほとんど寝てたもんな、百貨店出てきたときには」
「・・・すみません」
「いえいえ。送らなかったら、逆に危なかったかもな。電車は確実に寝過ごしだな」