女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
黙ったままで一番奥の棚のところに来て、袋を床に置き、斎が白衣のポケットから出したのはまた白い封筒だった。
「30万」
「・・・・」
黙って受け取って、私もポケットにしまう。斎は無表情だった。前よりは疲れもそんなに見えない顔をしている。
私はつい、口に出して聞いた。
「・・・・・どうやってお金作ってるの?」
売り場へ行こうと私の横をすり抜ける斎が立ち止まった。そして振り返り、綺麗な顔を歪める。
「・・・・お前が借金してでも返せって言ったんだろうが」
「借金したの?」
「うるせえよ、バカ女」
吐き捨てるようにそう言った後、ヤツは舌打までする。何をしているのかは知らないが、やはりそれなりに苦労はしているらしい。私はふふんと嘲笑してやった。
「・・・どうせ借金するならチマチマ小額ずつ返さないで、一気に返しなさいよ、201万」
斎はぷいと顔を背けて、そのまま足音荒く行ってしまった。私はその背中が倉庫入口のドアの向こうへ消えるまでじっと見ていた。
・・・30万?何でそんな金額なの。一体あいつは何してるの。
一度売り場に戻ってから、溜まったダンボールを捨ててくるとバックヤードへ入った。
販売員の通路で、エレベーターや階段やストック場や水場やトイレなんかがあるバックヤードは人の行き交いが激しい。