蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜素直になれ〜‡

「北ですか…厄介ですね…」

北の”魔女”と呼ばれるのはただ一人。
名を”ナーリス”と言う。
彼女は”魔女”と呼ばれる者達の中でも別格で、一説によればもう千年生きていると言われていた。
言われていたとは、”リュスナ”として生きた時代での話だからだが…未だに健在ならば、千年と二百年程の高齢と言う事になる。

「北…死の森を抜けた先と聞いたことがあるのですが…」
「俺もそう聞いている」
「…急ぎではないようなら、地道にあの方がこちら側に出てくるのを待つ方が賢明かと……」
「急ぎだ」
「ちなみにいかほど…」
「期限は後二週間だ。
あの気まぐれなババァを待ってられん」
「…いつ受けた仕事なんです…?」
「半年前だな」
「…ギリギリまで待ったんですね…本当にギリギリですけど…私が来なかったら、もちろん一人で行くつもりだったんですよね?」
「いや。
トンズラするとこだった」
〔みぃみむむ〜《あわてずさわがずね〜》〕
「…」

面倒な時に来てしまった。
いや、一番始めにこの人に会おうと思ったのがそもそもの間違いだった。

「…今の私に昔程の実力はありません…。
足手まといになるだけだと思います」
「それは、暗に俺一人で行けと言っているのか?
俺一人で行かせる気なのか??」
「…昔ならばともかく、今の実力では死の森を抜けるなんて芸当、できませんっ」
「相変わらずはっきり言うな。
俺がいるだろ」
「だから、足手まといになるので辞退すると言っています」
「お前一人守ったところで、俺には問題じゃない。
安心しろ」
「断ります。
そうまでして私が行く必要ないでしょうっ」
「っわからんヤツだな。
俺が一緒に来いと言ってんだっ。
文句言わずに来いッ」
「嫌ですッ。
いくらラダが強くても、森には何があるかわからないんですからっ。
守る余裕があるなら、一人で楽勝でしょッ。
一人でさっさと行って来てくださいっ。
気ままな一人旅好きでしょッ」
「うるせェッッ。
お前と一緒に居たいって解れよッッッ」
「っっ…何言っちゃってんですかッ?」
「…ッ知るかっ…」
〔みみみむみみみ《ふたりとも”まっか”すなおじゃない》〕


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