蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜リュスナの弟〜‡

「リュスナ、そういえばあなた、弟妹を覚えていて?」
「勿論です。
エルフの国へ亡命させました…何か…問題が…?」
「う〜ん★
ちゃんと国に届けられて、大切に保護、育てられたわ◎
だから、あなたの判断は正しかったのよ◎
問題になったのは、最近よ★」
「…この腕輪に関係があるのですか…?」
「あら〜話が早いのも考えものね…★
そうよ…少し前、弟君が人族の国の王になったわ★」
「っ…ッなっ」

双子の弟と妹は、当時幼かったとはいえ、戦乱の中、それでも事態を把握しているようだった。
まだ五つの子ども。
無邪気に寄って来る可愛い弟妹。
月に一度の父との面会の日は、恐々と震えていた。
あれから二百年余り。
エルフの寿命は千年、立派な大人に育っているだろう。

「ちっちゃい時は可愛いかったんだけどね〜★」
「それは…今が…?」
「可愛くないのよね〜☆」
「…っ…」
「そんなんババァの見解だろ」
「ヒッキーは黙ってなさい☆」
「ひっきーってなんだよッ」
「…もしかして引きこもりの事ですか…?」
「そうよ◎」
「ひっ引きこもり?
何だそりゃ」
「簡単に言うと、数ヶ月前までのあんたの状態の事よ◎
お外に出ないで、誰とも会わずに一人でお家の中に込もってたでしょ☆
あんまりリュスナに寄らないでちょうだい☆
不健康と根暗がうつるわ☆」
「何だとっ俺のどこが根暗だッ」
「…」
「やぁね、無自覚がいちばん厄介なのよね〜☆」
「俺の何が分かるってんだッッ」
「…っ」
「お子ちゃまは単純で分かりやすいのよ☆」
「誰がお子ちゃまだッ誰がッッ」
「…っ…」
「ほぉ〜ら、そこよ☆
そ・こ☆」
「クソババァっ」
「ラダ」
「何だッッ」
「っ…ちょっと口閉じていてください」
「…お…っおう…」
「や〜い☆
おっこられた〜☆」
「ナーリス…本題に入っていただけますか…?」
「っ…は〜い…★」

なぜこう言う事になるのか…。
数百年間生きてきた人達とは思えない落ち着きのなさに、毎回の事だが辟易する。

「え〜ェ、おほんっ゙
弟君、マリス・リ・セイレンが人族の王になったのは、今から約五十年前よ◎
彼は…その…ね〜☆」
「?何か…?」
「うん…★
人族嫌いで有名なの☆」
「へっ???」
「う〜ん☆
だからね、最初は何で?!って反対されてね★」
「ん?お前の弟ってあれか?
刃向かった奴は、容赦なく処刑するって噂の”冷酷王”?」
「処刑?!」



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