僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

彼女は見た目、四十台前半。

服装は派手すぎず地味すぎず、駅前にショッピングに出た奥様という印象だった。

膝上のベージュのスカートに薄手のピンク色のニットセータ。

きちんとストッキングを履いた足元には黒いパンプス。

流行の小ぶりなショルダーバックを肩から提げ。

化粧は薄め。

目元には薄くブルーのアイシャドウ。

眉を綺麗に整え、口元には薄い桃色の口紅。

肩より少し短い髪の下からは、綺麗な白い首が覗いていた。

どこにでもいそうな女性だけど、その目がとても印象的だった。


「どうかした?」


自分をじっと見つめる僕の様子を不思議に思ったのか、彼女が怪訝そうな顔で聞いた。


「はい、大曲までのチケット」


彼女は僕に、チケットを差し出した。
< 15 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop