さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「あず、どうして来たんだ!」
沖田さんは、私の行為に驚いた様子で一瞬ぴたりと動きが止まる。
「危ないっ!」
私は刀を抜こうとした。
あれ?
鞘に収まった銀色に輝く筈の部分はなかなか出てこない。
私の本当の気持ちが刀にも伝わったようで、びくともしない。
そんなことをしている間にも、敵は迫ってくる。
私は鞘が付いたままの刀を振り上げた。
それに命の重さがかかっているように、重い。
あの時毎日教わっていた事を思い出して、それを振り下ろす。
「ぎゃああ!」
私の刀は相手の肩に直撃した。
勿論、鞘に刺さったままだから斬ってはいない。
けれども、この重さをもろに受けたら結構な痛みが生じるはず。
男は肩を押さえてその場にしゃがみ込んだ。
「沖田さん。この2人は私がやりますから、沖田さんはあっちの3人を片付けてください。」
ここまで来たら進むしかない。
一度深呼吸をすると、いとも簡単に鞘は外れた。
外れてしまった。
私は意外にも冷静だった。
あの日の緊張感が戻ってくるようで、わくわくさえする。
沖田さんはそんな私を見て一度強張った顔をしたけれど、こくんと頷いてくれた。
生意気なことを言ったと後で怒られるかもしれないけれど、それでもいい。
この場を乗り切れるならば。
「女も容赦しなくていい!みんな殺っちまえ!」