さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「翼・・・っ!」
ずっと会いたかった、聞きたかったその声。
翼は私の血を見て驚いた顔をしたけれど、ゆっくりと口を開いた。
「あず、怪我はない?」
「うん…。」
「辛かったんだね。」
翼は柔らかい口調でそう言うと、優しくぽんと私の頭に手をやった。
懐かしい、この感じ。
たった2週間ぶりだけど、私にとっては果てしない2週間で。
「つば・・・さ、私、人・・・殺しちゃっ・・・」
涙で言葉が発せなくなる。
人殺し。
そんな私を翼は尚、そばに居させてくれるだろうか?
あの人を斬った感覚がまだ手にはっきりと残っている。
気持ち悪い。
ペタンと膝をついてへこたれてしまう。
腰が抜けて立てない。
翼は、そんな私の目線の高さまでしゃがみ込んで、優しい声を出した。
「・・・俺も同罪だから。」
翼は悲しそうに瞳を歪めた。
同罪?
翼も私と同じように人を殺したの?
この時代では刀を振らなければ、人を殺さなければ生きてはいけないの?