さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
簡単な病じゃない。
病の先にあるものは、一体何なのかしら。
考えてゾッとする。
「…お前に、頼みがある。」
「な、なに?」
行灯の灯りだけでは、烝の顔は見えない。
笑っているのか、真剣な表情なのかも。
けれど、その声色からは茶化しているようには聞こえなかった。
「あんたには、お目付け役を頼みたい。」
お目付け役。
傍で沖田さんを観察すること。
「それも、沖田さんにも察しられないように、こっそり、な。」
あまりいい仕事とは思えない。
こっそり監視するなんて。
でも、沖田さんの為になるならば、是非を問う必要はない。
「わかりました。」
「俺はこれから研究に専念する。俺の分まで、頼んだで?」
「はい。」
強く答える。
本当に、心の底から助けてあげたいと思う。
そう思うのはおかしいこと?