君が隣にいれば (短編)
「え…?」
本田くんは私を凝視した。
だけど、私の行動に一番驚いていたのは私自身だった。
何この手…。
何掴んじゃってるの…?
慌てて本田くんの手を離そうとするのに、体が言うことを聞かない。
何でもないって、早く否定しなきゃいけないのに、
「やだ…」
口まで勝手なことを言い出してた。
「行かないで…」
「渡辺?」
目の前の本田くんの顔は困惑してる。
そりゃそうだよね。
急にこんな訳の分からないことされたら困るよね。
なのに、私の口は止まらない。
「晴乃のとこに行かないで…。
本田くんが晴乃と相合い傘するなんてやだ…」
私、すごく無茶苦茶なこと言ってる。
「本田くんの隣にいるのは、晴乃じゃなくて、私がいい」
ねぇ、本田くん。
私やっと今分かったよ。
この前聞いたでしょ、『どうしても渡したくないものができたらどうすんの』って。
あのときは、想像もつかなかった。
だって、誰にも渡したくないなんて感情、今まで抱いたことなかったから。
だけど、やっと分かった。
こんなふうになるんだ。
なりふり構ってられないくらい、頭がいっぱいになっちゃうんだ。
それくらい大切なものができるなんて思わなかった。
それが本田くんだなんて思わなかった…。
「好きなの」
私は何とか、この気持ちを言葉にする。
「好きなの。
本田くんが好きなの。
本田くんが…」
何度目か分からないくらい、好き、を繰り返したとき、
「渡辺…」
本田くんの声でそれを遮られた。
涙で滲んで、本田くんの表情が見えない。
本田くんが私の手に触れる。
そしてゆっくり、彼を掴んでいた私の手を解かせた。
「―――お前の妹、靴箱のとこに待たせてるから…」
本田くんはそう言うと、私を残して教室を出て行った。
私はその場に崩れ落ちた。
涙が次から次から溢れ出す。
そして思った。
変わり者の本田くんも、結局私じゃなくて晴乃を選ぶんだ、って。
本田くんは私を凝視した。
だけど、私の行動に一番驚いていたのは私自身だった。
何この手…。
何掴んじゃってるの…?
慌てて本田くんの手を離そうとするのに、体が言うことを聞かない。
何でもないって、早く否定しなきゃいけないのに、
「やだ…」
口まで勝手なことを言い出してた。
「行かないで…」
「渡辺?」
目の前の本田くんの顔は困惑してる。
そりゃそうだよね。
急にこんな訳の分からないことされたら困るよね。
なのに、私の口は止まらない。
「晴乃のとこに行かないで…。
本田くんが晴乃と相合い傘するなんてやだ…」
私、すごく無茶苦茶なこと言ってる。
「本田くんの隣にいるのは、晴乃じゃなくて、私がいい」
ねぇ、本田くん。
私やっと今分かったよ。
この前聞いたでしょ、『どうしても渡したくないものができたらどうすんの』って。
あのときは、想像もつかなかった。
だって、誰にも渡したくないなんて感情、今まで抱いたことなかったから。
だけど、やっと分かった。
こんなふうになるんだ。
なりふり構ってられないくらい、頭がいっぱいになっちゃうんだ。
それくらい大切なものができるなんて思わなかった。
それが本田くんだなんて思わなかった…。
「好きなの」
私は何とか、この気持ちを言葉にする。
「好きなの。
本田くんが好きなの。
本田くんが…」
何度目か分からないくらい、好き、を繰り返したとき、
「渡辺…」
本田くんの声でそれを遮られた。
涙で滲んで、本田くんの表情が見えない。
本田くんが私の手に触れる。
そしてゆっくり、彼を掴んでいた私の手を解かせた。
「―――お前の妹、靴箱のとこに待たせてるから…」
本田くんはそう言うと、私を残して教室を出て行った。
私はその場に崩れ落ちた。
涙が次から次から溢れ出す。
そして思った。
変わり者の本田くんも、結局私じゃなくて晴乃を選ぶんだ、って。