星の見えない夜
彼女は俺の鳥肌にもかまわず、さっさと公園へ向かう。

軽い足取りで、公園の入り口にある魚型の車止めの間を抜けた彼女は、妙なことを言い出した。


「知ってる?

この世には実体のないものがたくさんあるんだよ。

……たとえば」


どうでもいいんだが。


「たとえば?」

「愛とか」


何を言いだすんだ、この女。

「愛?」



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