イジワル先輩の甘い恋の魔法
「職場の愚痴をベラベラ言ってさぁ……」
黒崎先輩はそう言ってクスクス笑った。
「それは覚えて、ます……」
私が知りたいのはその先!
「その後、泣きながら寝ちゃって」
クスクス笑っていたのが爆笑に変わる。
えっ?
泣きながら寝た?
マジっすか?
「揺らしても何しても起きねぇし、仕方ねぇからお前を背負って自転車押しながら帰って来たってわけ。周りからクスクス笑われるわ、おまわりから職質受けるわ大変だったわ」
「す、すみません!」
土下座する勢いで謝った。
本当は土下座したいけど、素っ裸な私は布団から出る事が出来なかった。
「お前、パンツスーツだったから良かったけど、スカートだったら、わいせつ罪で捕まってたぜ?てか、その辺に捨てて帰ろうかとマジで思ったわ」
「申し訳ありません!」
「お前んち、どこかわかんねぇし、だから仕方なく俺んちに連れて帰ったってわけだ」
黒崎先輩は私の顔に向かって、タバコの煙を吐き出した。
殴りたい衝動に駆られたけど我慢我慢。
煙で燻され涙目の私は何も言えなかった。