イジワル先輩の甘い恋の魔法
「車、持ってるのは本当だったんですね」
「俺、嘘つかねぇもん」
「そうですか」
「いつも自転車だったから……」
「寝坊した時だけ車を使ってるから」
黒崎先輩はそう言ってクスリと笑うと、車をゆっくり走らせた。
学校からアパートまで徒歩10分だから車だと5分くらい?
もしかしたら、そんなにかからないかもしれない。
なのに黒崎先輩は道を聞こうともしないで、車を走らせる。
アパートからどんどん遠ざかっていく。