純情、恋情、にぶんのいち!
いつも穏やかに笑っていて、とても物静かで、知的な雰囲気で、ほんの少しだけ、ミステリアス。
基本的に生徒に甘く接してくれるけど、ものすごく親しくなれるかと言われたら、案外そうでもないらしい。
それにくわえ、なにより、極上に整ったお顔をしていらっしゃる。
そんな、すべてを兼ね備えた化学の先生が、澄田陽平というお方なのです。
「いやあ……こう言っちゃなんだけど、澄田って胡散臭さ満載すぎない?」
「なにを言いますか! あんなに完璧なヨウ先生のこと!」
「その“完璧”な感じが胡散臭いって言ってんの」
たしかに、あまりにもなんの落ち度もなさすぎるから、さーちゃんの言っていることはわからないわけでもない。
でも入学してからの半年間、誰からも、どこからも、ヨウ先生の悪い噂は耳にしたことがない。
むしろ聞くのはいい話ばかりだ。
だから、なにひとつとして、胡散臭いことなどないに決まっている。
「ていうかジャージも似合っててずるい。なに着てもかっこよくてずるい」
普段はかちっとしたジャケットか、授業中は白衣を身にまとっているヨウ先生。
スポーツブランドのジャージも恐ろしいほどに着こなせているなんて、これはさすがにレッドカードの反則なのでは。