純情、恋情、にぶんのいち!
ぼけっとヨウ先生に見とれていると、突然けたたましいブザー音がグラウンドじゅうに鳴り響いた。
どうやら、とーご先輩たち2年生男子の玉入れが終わったみたいだ。
「3位青団、2位赤団、1位は白団です!」
爆発するみたいに上がった悲鳴に、隣のさーちゃんがげんなりと顔をしかめる。
「うるさ……」
「だって、さーちゃん、1位だよ!」
ウチらの白団が、じゃない。とーご先輩が、だ。
この飛び交っている黄色い声のほとんどは、間違いなく彼に対するものだろう。
「便乗して叫んじゃお。とーごせんぱーい!」
「澄田がイチバンとか言って、結局ただのミーハーじゃん」
「えへへ」
相変わらず照れくさそうな笑顔で団席に手を振ってくれるとーご先輩は、顔もかっこいいけれど、性格もものすごく良いのだ。
彼を王子様と呼ばずして、いったい誰をそう呼んだらいいのか。
「はあ、かっこいい……」
「……チィ。次1年女子の綱引きだよ」
「ええっ、ちょっとさーちゃん、置いてかないでー!」
団席に戻って周りの生徒に囲まれているとーご先輩を横目に、入場門へと急いだ。
先輩の周りはいつだって、星がまたたくように、チカチカ・キラキラしている。