真紅の世界


意味もなくパジャマのフードを被って頭を抱えてみる。
今、自分の置かれている状況すら飲み込めていないのに、これから自分がどうするべきか、なんてこと全然思い浮かばない。


しばらく膝を抱えて座り込んでいた。

いい加減お腹もすいてきたし、ここに座っていたって何も変わらない。
とりあえず歩こう。
歩いていけばきっとどこかに人がいるはず。
そう決めて顔を上げた瞬間。


目の前に、一歩間違えたらキスできるくらい至近距離に、人がいた。
金色のふわふわした髪を風になびかせて、まん丸の大きな瞳で、私を興味深げに見つめる小さな女の子。

金色のまつ毛に覆われた、透き通るようなスカイブルーの瞳が綺麗で、声を出すことすら忘れて見惚れてしまう。


その女の子は、白いドレスを着ていた。

腰についている大きな白いリボンが羽みたいですごく可愛い。
もしかして、この子天使? 私がいるのって天国だったりするの?


「ねぇあなた、クマさん? それとも私と同じ人間?」


完璧天然と思われる金髪の女の子から放たれた言葉は、聞きなれた日本語だった。

外人だとしたら英語のはずで、でもこの金髪少女は日本語を流暢に話している。


……語学留学でもしているんだろうか。

だから日本語が得意で、でもってそのこのお家に私は寝ぼけて入り込んでしまったとか……。

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